2016年9月アーカイブ

ドイツ銀行が米国司法省から巨額の賠償金をかけられていますが、一時は減額の合意が形成されたとの報道がなされ、株価が回復するかに見えました。それから一転、先日になって合意には至らなかったとの報道があり、株価は再び下落しはじめております。

ここまで株価が下がってきますと、増資による資金調達は難しい上、新たなめぼしい収益源もないなか、ドイツ銀行の株価の下落はさらに拍車がかかってしまうものとぼくは見ております。また、資金不足に陥る可能性もあるため、リストラによる経費削減を実行せざるを得ませんが、人材が流出してしまうことにより、さらに収益が悪化してしまう可能性が高いです。

ドイツ銀行の収益力が悪化してきた原因には、マイナス金利の影響などもありますが、リストラによる人員削減で優秀な人材が流出してしまったことも原因のひとつに考えられるでしょう。このような悪循環に陥りつつあるなか、他にも多数の訴訟を抱えておりますので、何かのはずみで破たんしてしまう可能性も現実味を帯びてきました。

エコノミストの多くはドイツ銀行は巨大すぎてつぶせないとのコンセンサスを形成しておりますが、巨大すぎるがゆえ、一旦坂道を転げ落ち始めると誰にも止めることができません。最終的には公的資金の注入しかありませんが、メルケル首相は否定はしているものの、いずれかの時点でこれに踏み切らざるを得ないものと思われます。

米国大統領選挙や英国のEU離脱、中国の景気減退など、世界経済へネガティブなインパクトを与える可能性が高い要素がいくつか存在しますが、このドイツ銀行の破たん問題は英国のEU離脱ともリンクしているため、EU離脱の連鎖による崩壊というワンランク上のリスクに発展する可能性があります。

そういった意味で、英国がまっさきにEUを離脱したのは、ある意味で正解だったのかもしれません。

ドイツ銀行の破たんが懸念されておりますが、メルケル首相が公的支援を否定したことにより、リーマンショック級の不況が現実味を帯びてきました。ドイツ銀行はかねてから悪名高い銀行として知られており、多方面で訴訟を抱えている状態ですが、今回は米司法省への1.4兆円にのぼる和解金の行方が注目を集めています。

このドイツ銀行が米司法省から罰金の支払いを求められているのは、2008年リーマンショックの時、不透明な不動産担保証券を投資家へ売りさばいていたからです。これに対する罰金として、アメリカから1.4兆円もの巨額訴訟を抱えているわけですが、ほかにも株式や債券などの不正取引疑惑により、多数の訴訟を起こされています。

東証でもドイツ銀行は空売り残高の多い銀行として知られており、個人投資家には敬遠されている銀行ですので、はやくつぶれてほしいと心から願っている人も多いです。ただ、世界経済へ与える影響には計り知れないものがあり、つぶすにつぶせない事情があります。

おそらく、今後は米司法省となんらかの妥協案が出てくるものと思いますが、ちょうどリーマンショックのときと同じ9月ということもあり、ここらでリーマンショック級のイベントがやってきても不思議ではありません。

万一、リーマンショック級の大不況となった場合、リスク時の円買いで円高になり、日経平均株価は大幅に下落するものと見られていますが、それに加えて米国大統領選挙の行方も注目を集めています。いずれにしても、市場関係者の間では円高にふれるものとの見方が強まってきており、しばらくはリスクオフの展開になってきました。

日銀の黒田総裁がインフレ2%の目標達成を2018年度頃まで先延ばしにすることを発表しました。当初は2年で2%達成予定だったものの、3年半が過ぎた現在でも未達となっており、さらに1年半延長されましたので、結局5年かかる計算になると思います。

しかし、このような状況で本当に2018年には到達しているのでしょうか?

確かに、原油価格の下落や消費増税による需要減の影響などもあるかと思いますが、政府は当然、そのような外部要因もコミコミで試算していたはずです。地震などの災害とは違い、原油価格の下落や消費増税による影響は誰もが予測可能な要因でした。米国のシェール革命に対抗するため、中東は原油価格を下げるであろうことは誰もが予測していたことですし、消費増税による需要減ついても何年も前から予測されていたことです。

ですので、インフレ2%未達の状況というのは、他に要因があったとしか考えられません。

ぼくの認識では、これは日本国民のデフレマインドが異次元のレベルに到達してしまったのが大きな原因であると考えています。今、若年層に広がりつつある「ミニマリスト」という消費マインドが社会的なデファクトスタンダードとなりつつあり、この点を団塊の世代は見落としています。この強固なデフレマインドを前に、小手先の経済政策では歯がたたないのだろうと思われます。

例えば、最近、話題になっている大谷投手。

彼は年棒2億円であっても月1万円ほどの生活費で暮らしているようです。これは決して大谷君が特異なケースではなく、多かれ少なかれ、現在の若年層の消費マインドは似たようなものです。

もしも、日本国民が全員、大谷君だったとしたらどうなってしまうでしょうか?

単純に計算すれば、日本全体での売上高が年間12兆円になってしまいます。これは現在の売上高である約1335兆円(参照:平成24年経済センサス)の100分の1以下です。つまり、物を作っても全然売れず、値下げ合戦が繰り返されることにより、物価が下落してデフレに拍車がかかることになるはずです。

もちろん、決して大谷君を批判しているわけではなく、アスリートとしてのストイックさにぼくはリスペクトしております。なので、一般庶民である我々とはまた別の話かと思います。

けれども、社会全体のベクトルとしては無駄なものは一切消費しないという方向へ向かっており、この消費マインドの変化は特に若年層で顕著です。いわゆる消費マインドに歴史的なパラダイムシフトが発生しているわけですが、バブル経済を経験してきた団塊の世代には理解できないのかもしれません。

このままの状況ですと、2018年のインフレ2%達成は困難な状況であると僕は考えています。

日銀の金融政策決定会合が開かれ、今後は「量」から「金利」へと政策の重点をシフトし、新しい枠組みのもとで金融緩和を継続することが発表されました。

けれども、この手法ではまずうまくいきません。

当ブログ運営者は、以前から日銀の量的・質的金融緩和は失敗におわると予想していましたが、実際、3年後の現在でも未だに2%のインフレ目標を達成できずに失敗に終わっています。ぼくらのようなプロの視点でみれば一目瞭然なのですが、リアルな経済の実態を知らない銀行員が考えるとこのような結果になってしまうわけです。

もし量的緩和をやるのなら、金融機関が市中への貸出を増大する仕組みもセットで対応しない限り、インフレになるはずなどないのです。おそらく、経済学者的な考えで、ふいんき的なものでうまくいくと踏んでいたのでしょうけれども、ふいんきで実態経済が動いているわけではないのです。

リアルな経済、国際経済はそんなレベルで動いているわけではありません。日銀が金融の素人集団とはいいませんが、ぼくらからみれば、金融や経済のリテラシーが低いといわざるを得ません。案の定、2%の達成は当然のごとく失敗に終わりましたが、日銀はこの単純なことがなぜわからないのか、まさに僕らには理解できない異次元の思考といえます。

ただ、失敗ではあるものの、なかには一定の評価に値する政策もなかにはありました。それはマイナス金利の導入ですが、もし3年前の時点で黒田バズーカと同時にやっていたら、多少はましな結果になっていたかもしれません。この点については、最終的には失敗ではありましたが、よく頑張ったのではないかと評価はできます。

もし、日銀が最初からいっていたように、出せる玉を小出しにせず、マイナス金利導入も一度にやっていたら多少は違った結果になっていたのかもしれませんが、このあたりの対応は詰めが甘かったといわざるを得ません。また、消費税導入の延期についても、どうせ延期するなら、最初からやっておけばよかったのです。

この先も日銀の対応はおおよそ予測がつきますが、数年たっても2%のインフレ目標は達成できず、いずれはアップアップの状態で金融緩和が手詰まり状態になるかと思います。

その後、日銀は否定していますが、遅かれ早かれ、最終的には何らかのヘリコプターマネー的な対応をせざるを得なくなるはずです。その時期がいつになるのかは不明ですが、おそらくはあと5年ぐらいのうちには、何らかの変化が出てくるのではないかと僕は考えております。