2015年6月アーカイブ

ギリシャのツィプラス首相は27日、債権者集団との財政再建策の受け入れ交渉を巡り、7月5日に国民投票を実施することになりましたが、ギリギリの土壇場になってこのような方針を出すことに、ヨーロッパ各国はほとほと呆れ果ててきております。

現実を見れば、ギリシャ国民は財政再建策を受け入れるほかありませんが、おそらくは国民投票で拒否を投じる市民も出てくるはずですので、ユーロ圏離脱も現実味を帯びてきております。もし拒否票が上回れば、ギリシャは衆愚政治の典型となってしまうことでしょう。

古代ギリシャでもアテナイ人の衆愚政治がありましたが、国民に何かを決めさせるべきではありません。プラトンがいうように、1部の賢人による哲人政冶をしけばよいのですが、ツィプラス首相にはその器がないような気がいたします。

今後の予定としては、30日にIMFへの約2000億円の返済がありますが、これは現実的に履行されないはずですので、この時点でおそらくは、実質的なデフォルト状態に陥るものと思われます。

今後の主なスケジュールは以下のようになっています。

6月30日 IMF 約2000億円(国庫には金がない)
7月5日 国民投票(改革案の受け入れ是非を問う)
7月20日 ECB 約4700億円

ただ、30日以降、7月5日までの国民投票の間、ある程度の時間がありますので、この間に預金封鎖や何やらの事態が生じてくれば、ギリシャ市民もさすがに現実を受け入れざるを得ない状況になるものと思われます。

これはおそらく、今後の緊縮財政への不満の影響を考え、政府主導ではなく、国民が自ら決定したという既成事実を作る為のものと思いますが、もっとはやくにやっておいて欲しかったです。円高懸念で間接的には日本の株価も下落しておりますので、正直、迷惑この上ないです。

ただ、金額自体は2000億円程度ですので、個人でもそのレベルの資産を持っている人は世界中にたくさんいますので、世界経済に与える影響はほとんどないものと思われます。

それほど心配する必要はないものと思われますが、中国市場の様子も微妙になってきましたし、ギリシャの債務問題をきっかけに世界的な株高の方向性が転換する可能性もあり、予断を許さない状況になってきました。

厚生労働省が18日に発表した勤労統計調査(時系列表第6表 実質賃金指数)によると、確報値で4月の実質賃金がマイナス0.1%に下方修正されました。先日の速報値では2年ぶりに実質賃金がプラスに転じたという報道がなされましたが、確報値では一転してマイナスに転じております。

これはすなわち、何を意味するのかというと給与は実質的に上がっていないという意味です。安倍首相が口がすっぱくなるほど賃金を上げろと何度も要請したにもかかわらず、企業側はシカトを決め込んだ形になってしまい、この結果には安倍さんもガッカリのご様子だったのではないかなと思います。(詳細不明)

一方で、増税の波が押し寄せてきており、消費税はすでに8%に上がり、今後は10%まで引き上げられます。加えて、今月から年金生活者の介護保険料が大幅にアップしており、他の社会保険関係の負担も大きくなってきました。また、先日の1ドル125円の円安の影響による物価上昇はこれから本格化することが見込まれておりますので、今後もさらなる値上げラッシュが来ると考えてもよいでしょう。

そのようななか、確報値で実質賃金をプラスにするにはどうすればよいのでしょうか?

それは企業がさらに給与の増額をするか、もしくは円高に戻して物価を下げるか、もしくは減税をする他ないです。けれども、ベースアップは年1度きりですので、しばらくは上がる見込みがありません。今回の確報値でマイナスだったのは、今後のアベノミクスを占う上で重要な判断になりうると僕は考えております。

この18日の発表を受けたのかどうかは不明ですが、日経平均株価が下落しており、株価もあやしげなふいんきが出はじめてきました。ギリシャもあやしげですし、それを口実にして円高に振れることがあれば、株価下落にもつながりかねません。

ギリシャ問題のゆくえが世界経済へどのような影響を与えるのか、今後も目を離せない展開になってきました。

速報値ですが、毎月勤労統計調査によると実質賃金が2年ぶりに前年同月比0.1%のプラスに転じました。0.1%が多いのか少ないのかは不明ですが、プラスに転じたことで先行きに明るさが出てきております。

けれども、この先、消費税増税も控えておりますし、円安による物価高はこれからやってきます。円安125円になったのはつい先日のことですので、円安による値上げラッシュと増税の可処分所得の減少による消費の冷え込みはまだ何もはじまっていないといえます。

そのような状況のなか、この春の実質賃金の増加はわずか0.1%という結果でした。1年間はこの状況が継続することが予想されますので、この数字でこの1年を乗り切ることができるのかという懸念が出てきております。また、あくまで速報値での話であり、確報値では下方修正される懸念もあります。

この先に想定されている増税や物価高を考えると、5%ぐらいの実質賃金アップでトントン、景気回復を実感するには10%以上の数字がないと厳しいものと思われますが、結果として0.1%増という結果に終わってしまいました。

総じて考えますと、輸出型大企業と中小企業の格差が拡大していく方向へ向かっていると思われますが、今から輸出企業の銘柄を物色するには、多少、高値感も出てきております。日経平均12連騰のあと、そろそろ調整される時期が来てもおかしくないかもしれません。

今回の実質賃金の上げ幅では、今後の消費の冷え込みは避けることが出来ない数字が出てきてしまったため、内需型の輸入企業の銘柄は、ちょっと手が出しづらい時期に入ってきたように感じております。