2015年10月アーカイブ

ヨーロッパと中国での金融政策を受け、世界的な金融緩和の流れが出てきておりますが、これにより日経平均株価も上昇してきているようです。加えて、円安にもふれてきておりますが、今週からはじまるFOMCと30日の日銀金融政策決定会合の動向に注目が集まってきています。

ただ、直近では日経平均株価が回復基調にありますし、円安にもふれてきていることから、日銀がここで追加緩和にはタイミングが悪いということもあり、市場関係者の間では今回の追加緩和はないだろうという観測が強まっているようです。

ここで奥の手を使ってしまえば、このあとに株価が低迷した際に切れるカードを失ってしまいます。中国経済の動向や今後に控えている消費税の増税など、いずれ切らなければならないタイミングが出てくることは予測されますので、それまで温存しておくのではないかという意見が多くなってきています。

一方で、チャート的には、日銀の追加金融緩和がなければ市場の失望を招き、このまま日経平均株価は下落基調に入ってしまう可能性が高いです。世界的な金融緩和の流れというのは、逆をいえば、世界的な景気減退の局面に入ったということを意味していますので、チャートでいえば、何もしなければ株価が下落してしまう状況にあるといえます。

とはいえ、世界的な金融緩和の流れになっていますので、日銀が追加緩和を見送ったからといって売り込むにもやりずらい面もあり、株価の下落は限定的なものに留まるだろうというコンセンサスも市場関係者の間で生じつつあります。

30日の日銀の追加緩和はあるのか、それともないのか。世界中の市場関係者の間で注目が集まってきてます。

9月の貿易収支は大方の予想に反して1,145億円赤字の結果になりました。これで6ヶ月連続の赤字となっていますが、輸出自体は13ヶ月連続の増加が継続しています。この赤字の原因は、中国向け輸出が予想を反して低迷しており、中国の動向へ注目が集まっています。前年の5兆4,585億円の赤字からは大幅に縮小しており、円安をもとに貿易収支の黒字化は時間の問題との見方も強まってきました。

一方で、ここ数年の間に大幅な円安へと振れておりますが、未だに貿易収支が黒字化していないのは、経済活動のグローバル化に伴う海外移転が進んでいるためと見られています。拠点を海外に移しているため、円安になったとしても、以前のように大幅な輸出の増加は見込めません。急激な円安により、かえって企業業績が悪化することもあります。

また、少子高齢化社会の到来により、輸入依存型の経済になるとの見方が強まってきております。このまま貿易赤字が増加していくと、貿易の支払いのために円を売りドルを買う形になり、さらに円安ドル高が強まるとの予測もでてきております。

政府がどのレベルでの円安ドル高を見込んでいるのかは様々な予測が飛び交っておりますが、今後の中国経済の行方によっては、再び円高へ振れる可能性も出てきております。中国経済のゆくえに注目が集まってきました。

8月以降、日経平均株価は大幅に下落していますが、月足チャートを見る限りまだまだ下値を探る展開が予想されています。どのような展開になるかはまったく予測はできませんが、10月に17,000円を割り込んで終わるようですと、次の下値は15,500円程度、その後は16,000円まで反発したのち、12,000円~11,000円程度が底値になると私は考えております。

日経平均で10,000円を割り込む可能性は低いとは考えてますが、瞬間的にタッチする可能性はあるかもしれません。いかんせん、GDPがマイナスの状態のままですし、お札は刷ってはいるのでしょうけれども、市中にはぜんぜん回ってきません。

ここで追加緩和があれば、また違った展開になるのかもしれませんが、もしなければ失望売りで16,000円割れのシナリオが現実味を帯びてきてました。

さらなる追加緩和はあるのか?

そもそも賃金が上がらなければ、いくらインフレにしたって景気は悪くなる一方です。

消費者の可処分所得は変わらないのに、物価だけが上がる状況でしたら消費を控えるに決まっています。けれども、社会保険料が今月からまた上がりますし、経営者目線でいえば、おいそれと賃金を上げるわけにはいかない厳然たる事情があるのです。

団塊の世代が退職することで年金や医療などの社会保障負担がどんどん増大し、それは厚生年金や健康保険料などの負担増に直結しますので社会保険の会社負担分も大きくなりがちです。そのような状況のなか、非正規雇用は増大するでしょうけれども、賃上げの動きにはつながらないものと思われます。

もし今後も可処分所得が増えないまま、物価だけが上がっていくともなれば、大幅に景気が冷えてしまいますので、政府としてもおいそれとインフレにはもっていけないでしょう。さらに追加緩和を実施した際の副作用も見極めなくてはいけません。

なので、去年10月のような追加緩和があるのかといえば、個人的な考えでは答は「否」です。去年とは違い、世界同時不況の様相を呈してきている今、ここで弾を使っても無駄に終わってしまう可能性があります。また、夏のボーナスもいまいちで賃金アップもそれほど見込めない状況です。

一方で、アベノミクスはここでやらなければ、失望売りにつながってしまうはずです。万一、17,000円を割り込む形になってしまうと今度はこれが上値抵抗線に作用してしまう可能性が高いです。また、安倍総理のGDPで600兆円を達成するというお話が出ていますし、何等かのサプライズ金融緩和策が出てこないとも限りません。

10月初旬での追加緩和があるのか、それともないのか?

もしなければ、追加緩和期待で買った人の失望売りをまきこんで15,000円台に突入する可能性も現実味を帯びてきました。緩和があっても、現段階からは買い入れずらい気もします。そうはいっても、追加緩和しなくては下げ幅が拡大してしまう可能性があります。

なんかありそうな気もしてきました。