2018年8月アーカイブ

先日のスルガ銀行の不適切融資1兆円の件についてですが、スルガ銀行側も委員会側も知らぬということで、情報源がどこなのか何だかあやしい雰囲気になってきました。

東証でも「第三者委員会の調査内容に関する不明確な情報が報道されているため」ということで注意喚起を出しているもようです。

ぼく個人の考えでは、当初はかぼちゃの馬車への融資で1200億円ぐらい、仮に担保価値なしでこの全額が焦げ付いたとしても、せいぜい数年分の利益が吹き飛ぶ程度との印象でした。地銀トップレベルの収益力と3000億円規模の利益剰余金を考えれば、そう大した問題はないと考えてました。

住宅ローンは数十年単位でしょうし、仮に新規融資が停止したとしても、直ちに大きな影響はないだろうという認識でした。

けれども、これが1兆円規模ともなれば終わったなと感じたのですが、よーく見てみると「不適切融資」と書いてたみたいです。これで株を売却してしまった人が多いと思いますが、そもそも東証も不明確な情報といっていますし、誰が何の目的で流した情報なのか謎は深まるばかりです。

不適切というのは何がどう不適切だったのか、不正融資とは違うのか、またそれで焦げ付く可能性があるのか、そもそも不適切融資というのは実在する融資なのか、真相は調査報告書を見てみないとわかりませんが、いずれにせよ、今月中には調査報告書が提出される見込みとなっています。

スルガ銀行の不適切融資が1兆円にのぼると報道され、日銀の異次元の金融緩和による副作用が表面化する形になってきました。

これまで日銀は金融機関などから国債を大量に購入してきましたが、現在、その保有残高は約447兆円に上ると言われています。その買い取ったお金は日銀の当座預金にブタ積みになっており、世の中にはお金が回ってはいないといわれていました。

そのような状況のなか、スルガ銀行は融資で世の中にお金を回そうとしたわけですので、その方向性自体は正しかったのかもしれません。

けれども、実業ではなく、不動産投資という投機に近い分野に手を出したことが命運を分ける形になりました。結局、日本の銀行は担保主義から抜け出せていなかったのかもしれません。

支払い能力のあやしいサラリーマンにも高額な融資をしていたと言われており、10年前のリーマンショックを彷彿とさせる様相を呈してきております。これをサブプライムローンというのかどうかは不明ですが、いずれにしても既に多額な借金を抱えてしまったサラリーマンが出てきました。

ここで素朴な疑問が出てくるわけですが、果たして他の地方銀行は大丈夫なのでしょうか?

ぼくの調べた限り、直近5年の地銀全体で3兆円増の残高14兆円程度と見ていますが、今回のように「住宅ローン」のような形のものも含まれていたとなると、融資残高が2倍、3倍になってしまう可能性があり、個人の不動産投資の実態には不透明な部分があります。

くしくも来月の9月15日は、2008年9月15日のリーマン・ショックから10年の節目にあたりますが、何かが起こりそうな予感がしてきました。

財務省によると、6月末での日本の借金が10,889,851億円になったそうです。

これを日本の人口12,659万人(7月末)で割ると約860万円、現役世代(15~64歳)の7,578万人で割ると1,437万円の計算になります。

財務省理財局の資料のため、これまでの一連の経緯を考えると信ぴょう性に乏しい面もありますが、概ね日本は借金大国であるといっても過言ではありません。

理論上、日銀がすべての国債を購入できれば、国債利払いは国庫納付金として国民の財産にはなりますが、買い取り残高はまだ448兆3,261億円(29年度)程度に留まっており、この辺りで限界が見え隠れしてきました。

現在、トルコ国債の10年もので21.530%となっていますが、仮にこの程度まで金利が上昇してしまうと残高500兆円(962-448)としても100兆円程度の利払いが発生することになります。現在の日本の税収の58兆円ではとうてい返済できなくなってしまいます。

こうなってしまうと、不足分の42兆円を借金してくるか、税金を1.72倍程度まで引き上げるしかありませんが、いずれかの時点で限界は出てくる気がしてなりません。

また、日銀自体についても国債を買い取った膨大なお金は当座預金にブタ積みになっているといわれており、利上げが実行されると大きな負担が発生してきます。

果たして、10,889,851億円の借金を完済することが本当に可能なのでしょうか?

いずれにしても、あと数年程度で結果は出るのではないかとぼくは感じています。