BOJ金融システムレポートを読む

当サイトでは以前から懸念していましたが、不動産投資バブルの崩壊による地銀発の日本版リーマンショックの可能性が高まっており、日銀でも過剰融資に関して警戒感を強めているようです。

先日リリースされた日銀の金融システムレポートによると、地域銀行による個人向け投資不動産用の貸付残高が高い伸び率になっており、前年比9%程度で推移しているようです。これはマイナス金利の導入によって低金利で融資を受けられる状態になったことや相続税対策として利用している人が増加したためですが、一転して不良債権化する可能性が表面化してきました。

これは主に第一地銀や第二地銀などの地域銀行に限った話になっており、都市銀行ではそれほど個人向け不動産融資残高は多くありませんが、地銀では不良債権化する可能性が高まってきております。

出生数が100万人を割り込み、さらに人口100万人を割り込む県(※市ではない)も10県にのぼっており、日本の人口減少が加速化しています。このペースで推移すると、わずか数年~数十年で日本の人口が8千万人程度まで減少するとみられており、地方の過疎化に拍車がかかるものと見られています。

そのような状況のなか、単純に考えれば、いずれは確実に4,000万室~5,000万室の空室が発生する計算になりますが、直近の不動産投資は逆に加熱化している状況です。

結果として何が生じるのかといえば、空室率が上がり、家賃収入が減少、不動産融資の返済が滞るケースが多くなり、貸付金利が上昇するはずです。ここに至って貸家業者はローンの返済が困難となり、不動産の売却にかじをきるはずですが、安値でしか売れず、莫大な借金を背負ってしまうことになるはずです。

この最終段階にいたっては不動産価格が暴落していますので、売却したくても二束三文でしか売れないため、担保価値がなくなってしまうでしょう。最終的には家主の法的整理が多発して地銀の融資が不良債権化、相次ぐ地銀の連鎖倒産となり、銀行員は路頭に迷う結果になります。

一方で、マイナス金利の導入により地銀の収益力は減少していますので、多少のリスクがあったとしても、不動産投資用の融資をやめることはできなはずです。銀行員は担保が好きなので、不動産ローンとかはやめられないのです。

将来のバブル崩壊を防ぐために、日銀は地銀を要チェックして実態の解明に全力をあげるべきと思います。特に、複数の物件を運営している家主への融資状況はチェックしておくべきでしょう。