貿易収支は1,145億円の赤字─中国向け輸出が下振れ

9月の貿易収支は大方の予想に反して1,145億円赤字の結果になりました。これで6ヶ月連続の赤字となっていますが、輸出自体は13ヶ月連続の増加が継続しています。この赤字の原因は、中国向け輸出が予想を反して低迷しており、中国の動向へ注目が集まっています。前年の5兆4,585億円の赤字からは大幅に縮小しており、円安をもとに貿易収支の黒字化は時間の問題との見方も強まってきました。

一方で、ここ数年の間に大幅な円安へと振れておりますが、未だに貿易収支が黒字化していないのは、経済活動のグローバル化に伴う海外移転が進んでいるためと見られています。拠点を海外に移しているため、円安になったとしても、以前のように大幅な輸出の増加は見込めません。急激な円安により、かえって企業業績が悪化することもあります。

また、少子高齢化社会の到来により、輸入依存型の経済になるとの見方が強まってきております。このまま貿易赤字が増加していくと、貿易の支払いのために円を売りドルを買う形になり、さらに円安ドル高が強まるとの予測もでてきております。

政府がどのレベルでの円安ドル高を見込んでいるのかは様々な予測が飛び交っておりますが、今後の中国経済の行方によっては、再び円高へ振れる可能性も出てきております。中国経済のゆくえに注目が集まってきました。