経済

2015年4-6月期の国内総生産は前期比マイナス0.4%でマイナス成長の結果になりました。これは年率換算で4倍するとマイナス1.6%になります。アベノミクスでの15年ぶりの株高といわれているなか、まさかのマイナス経済成長の結果となり僕は驚いております。

GDPがマイナス成長となっているなか、はたして景気がよくなっているといえるのか?という疑問を持つ人も多いと思いますが、個人消費が冷え込んでいる状況ではとても景気がよくなっているとはいえません。

現在の日本経済がなぜこのような結果になっているのかについて、まずは中小企業の賃金が上昇していないことがあげられます。加えて円安の影響による物価高があり、さらに増税の影響が最近になってモロに出てきております。

この4-6月期中に発生した増税については、介護保険料の大幅アップが大きな要因として上げられるでしょう。年金生活者には6月に納付用紙が送付されてきたと思いますが、大幅な介護保険料の増額となっている人も多いはずです。保険料負担がアップすることにより、支給される年金額が減少しますので、結果として消費に回せるお金が少なくなるわけです。

物価高に消費税増税、それに加えて介護保険料などの税金も上がったことにより、可処分所得は大幅に減少してしまいました。さらに、今後も10%への消費税増税が控えているともなれば、これで個人消費が冷え込まない方がおかしいです。

7-9月期GDPについても、市場関係者やチーフエコノミストと言われる人たちは回復するとの予測をしているエコノミストたちが多いですが、これは希望的観測といえるでしょう。1ドル125円に突入した際の値上げはまだやってきておりません。

概ね、7-9月期については回復するとの予測がなされておりますが、万一でもマイナス成長となった場合、深刻な影響が出てくる可能性があります。

今回のGDPマイナス成長の結果を受け、追加の金融緩和が実行される見込みもありますし、中国経済の動向にもバブル崩壊が懸念されております。そうなった場合、円安がさらに加速すると見られており、値上げラッシュがやってくるかもしれません。

賃金上昇が伴わない状況での物価高と増税により、国内消費がさらに落ち込む余地はまだまだあると考えるべきなのです。

8月17日に4-6月期GDPが発表される予定ですが、軒並みマイナス成長との予測が報道されています。国内消費が急激に冷え込んでいるなか、現金給与が大幅に減少している状況ですので、予想外のマイナス成長となる可能性も出ており、17日のGDP発表に注目が集まっています。

円安による企業業績の回復には目をみはるものがありますが、内部留保に向かうのみでサラリーマン労働者の賃金には反映されてきません。労働者世帯は円安による負担増が厳しさを増してきており、値上げはまだ本格化しておらず、これからが正念場ともいえます。

安倍政権が危機感をつのらせ、雇用賃金を上げることを企業に切実に訴えていましたが、ふたを開けてみれば、現金給与総額が前年同月比で2.4%マイナスでした。最低限プラスを達成しないと意味がありませんので、アベノミクスは正念場を迎えた形になっております。

賃金が上昇していかないなかでの円安と増税により、消費マインドは急速に冷え込んでいきますので、いくら企業業績が好調といえども、このままでは景気回復は見込めません。

株価はかろうじて2万円台をキープしてはおりますが、ここからの上値をめざすには難しい位置にきているものと思われます。中国経済が非常にセンシティブな状況になっているなか、上値を追うよりも下値を探る時期にきているといってもよいでしょう。

株価が下がれば、為替も連動して円高に向かうはずですが、アベノミクスは今後も目が離せない展開になってきました。

先日の国民投票で話題になっていたギリシャ問題ですが、EUとの金融支援の協議が合意に至る予定となっており、当面の間は金融危機を回避したもようです。

ギリシャ支援へのEU側の条件として年金改革や増税があげられていますが、これらを明日の15日までに法制化し、議会で可決すれば、3年で11兆円程度の支援がなされる予定となっています。ただ、債務の棒引きはなく、返済期限の延長といった形での軽減策がとられる予定です。

また、14日に予定されていた日本のサムライ債も返済が履行されたようで、明日のギリシャ議会での法制化が通過すれば、当面はユーロ離脱危機が回避されたと考えてもよいでしょう。

これを受け、日経平均株価は2万円を既に回復しております。先週までは中国株の暴落とギリシャのデフォルト問題で世界同時株安になっておりましたが、今週からは当面の間、重大なリスクは回避されたものと考えてよいかもしれません。

ただ、明日の15日、ギリシャ議会での法制化が否決されるとなると、またギリシャのデフォルト問題がぶりかえす可能性もあります。加えて、先週は中国株も売買停止になるなど、あやういシステムの上に成り立っていることが浮き彫りとなりました。当面の危機は回避されたものの、この状況がいつまで続くかは予断を許さない状況となっています。

ギリシャのツィプラス首相は27日、債権者集団との財政再建策の受け入れ交渉を巡り、7月5日に国民投票を実施することになりましたが、ギリギリの土壇場になってこのような方針を出すことに、ヨーロッパ各国はほとほと呆れ果ててきております。

現実を見れば、ギリシャ国民は財政再建策を受け入れるほかありませんが、おそらくは国民投票で拒否を投じる市民も出てくるはずですので、ユーロ圏離脱も現実味を帯びてきております。もし拒否票が上回れば、ギリシャは衆愚政治の典型となってしまうことでしょう。

古代ギリシャでもアテナイ人の衆愚政治がありましたが、国民に何かを決めさせるべきではありません。プラトンがいうように、1部の賢人による哲人政冶をしけばよいのですが、ツィプラス首相にはその器がないような気がいたします。

今後の予定としては、30日にIMFへの約2000億円の返済がありますが、これは現実的に履行されないはずですので、この時点でおそらくは、実質的なデフォルト状態に陥るものと思われます。

今後の主なスケジュールは以下のようになっています。

6月30日 IMF 約2000億円(国庫には金がない)
7月5日 国民投票(改革案の受け入れ是非を問う)
7月20日 ECB 約4700億円

ただ、30日以降、7月5日までの国民投票の間、ある程度の時間がありますので、この間に預金封鎖や何やらの事態が生じてくれば、ギリシャ市民もさすがに現実を受け入れざるを得ない状況になるものと思われます。

これはおそらく、今後の緊縮財政への不満の影響を考え、政府主導ではなく、国民が自ら決定したという既成事実を作る為のものと思いますが、もっとはやくにやっておいて欲しかったです。円高懸念で間接的には日本の株価も下落しておりますので、正直、迷惑この上ないです。

ただ、金額自体は2000億円程度ですので、個人でもそのレベルの資産を持っている人は世界中にたくさんいますので、世界経済に与える影響はほとんどないものと思われます。

それほど心配する必要はないものと思われますが、中国市場の様子も微妙になってきましたし、ギリシャの債務問題をきっかけに世界的な株高の方向性が転換する可能性もあり、予断を許さない状況になってきました。

厚生労働省が18日に発表した勤労統計調査(時系列表第6表 実質賃金指数)によると、確報値で4月の実質賃金がマイナス0.1%に下方修正されました。先日の速報値では2年ぶりに実質賃金がプラスに転じたという報道がなされましたが、確報値では一転してマイナスに転じております。

これはすなわち、何を意味するのかというと給与は実質的に上がっていないという意味です。安倍首相が口がすっぱくなるほど賃金を上げろと何度も要請したにもかかわらず、企業側はシカトを決め込んだ形になってしまい、この結果には安倍さんもガッカリのご様子だったのではないかなと思います。(詳細不明)

一方で、増税の波が押し寄せてきており、消費税はすでに8%に上がり、今後は10%まで引き上げられます。加えて、今月から年金生活者の介護保険料が大幅にアップしており、他の社会保険関係の負担も大きくなってきました。また、先日の1ドル125円の円安の影響による物価上昇はこれから本格化することが見込まれておりますので、今後もさらなる値上げラッシュが来ると考えてもよいでしょう。

そのようななか、確報値で実質賃金をプラスにするにはどうすればよいのでしょうか?

それは企業がさらに給与の増額をするか、もしくは円高に戻して物価を下げるか、もしくは減税をする他ないです。けれども、ベースアップは年1度きりですので、しばらくは上がる見込みがありません。今回の確報値でマイナスだったのは、今後のアベノミクスを占う上で重要な判断になりうると僕は考えております。

この18日の発表を受けたのかどうかは不明ですが、日経平均株価が下落しており、株価もあやしげなふいんきが出はじめてきました。ギリシャもあやしげですし、それを口実にして円高に振れることがあれば、株価下落にもつながりかねません。

ギリシャ問題のゆくえが世界経済へどのような影響を与えるのか、今後も目を離せない展開になってきました。